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KAGRA(かぐら)NEWS  
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大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)計画は、中核機関である東京大学宇宙線研究所と、国立天文台、高エネルギー加速器研究機構とが密に連携しながら、国内外の数多くの研究機関の研究者の協力も得て推進されています。

2014.03.31:
KAGRAのトンネル掘削が完了しました。
2014年3月末日、総延長7kmを超えるKAGRAのトンネル掘削工事が成功裏に完了しました。

重力波とは、質量の加速度運動によって生成され、宇宙をさざなみのように伝わっていく時空構造の歪みです。 その存在は約100年前にアインシュタインの一般相対性理論から予測されましたが、重力波と物質との相互作用があまりにも小さいため、現在までその直接検出に成功した例はありません。
重力波の存在に関する最初の間接的な証明は、ハルスとテイラーによって発見された連星パルサーの長期観測によってもたらされました。この業績により彼らは1993年のノーベル物理学賞を受賞しています。

また、BICEP2プロジェクトによる、宇宙背景マイクロ波輻射からのBモード偏光成分を捉えたという最近の報告は、もし確認されれば重力波の存在に関する新しい証拠となります。このような背景から、重力波を直接検出する重要性はかつてなく高まっていると言えます。
KAGRA計画図
(東京大学宇宙線研究所提供)
 

これまでほとんどの天体観測では電磁波を用いてきました。しかし、重力波の生成機構は電磁波と大きく異なるため、波源天体に関する他では得られない情報を我々にもたらしてくれます。天体からの重力波の直接検出は、中性子星の状態方程式やブラックホールのパラメーター直接決定、超新星の爆発機構解明といった、極限状態の物理を探る手段を我々に与えてくれます。

KAGRAは基線長3kmのL字型をしたレーザー干渉計型重力波検出器であり、現在岐阜県神岡鉱山の地下に建設中です。この干渉計を用いて、我々は水素原子直径の100億分の1という極めて小さな時空の歪みを検出しようとしています。
このような極限的な感度を実現するためには、地面の振動のように、干渉計の鏡位置を変動させてしまう、ありとあらゆる外乱を排除する必要があります。
神岡鉱山内の地面振動レベルは東京の約100分の1です。このような静寂な環境は、KAGRAの成功にとって極めて重要です。これが、総延長7697mにも渡る巨大トンネルを掘削した理由です。
KAGRAの観測開始によって、我々は宇宙を観測する全く新しい手段を手に入れることができると期待されています。
掘削後のトンネル内
(東京大学宇宙線研究所提供)

国立天文台は、東京大学宇宙線研究所及び高エネルギー加速器研究機構と共に、KAGRAプロジェクトの中核研究機関としてその建設を推進しています。トンネル掘削の完了はKAGRAの建設にとって大きなマイルストーンの達成となります。詳細は、東京大学のプレスリリースを参照して下さい。

重力波プロジェクト推進室 / 連絡先: gw-webmaster@  @の後にnao.ac.jpを追加してください。 最終更新 2014/03/31